2004年11月04日
【用語集】ディベーターの「Magic Word」 by 佐々木@UT
訳:佐々木翼
もしディベートを正しく行いたいのなら、ディベートの専門用語を学ぶことはとても重
要です。ほとんどの専門用語はディベートに特有な概念というわけではなく、自分の考え
や主張を評価するのに広く応用できる概念です。
これから挙げていく専門用語は必ずしも決まったものや完全なものではなく、最初に覚
えるとよいと思われるものにすぎません。これらの用語が実際に使われる時に、他にどの
ような意味があるのか調べてみてください。これらの単語はここで書かれていることをそ
のまま意味するわけではないかもしれません。結局、言葉の意味とは単語そのものにある
のではなく、人が実際に使って決まるものですから。
これからアルファベット順にディベートの専門用語をリストアップしていきます。
【A】
Add on Advantage
2AC で示される新しいAD のこと。
Affirmative/肯定側
試合中に論題を指示するサイドのこと。
Affirmative cases
通常、肯定側が変化が必要だと述べるために示すスタンスの一部を示す。何か重大な問題
が存在し(Need)、現状の政策では解決不可能だが(Inherency)自分たちのスタンスで解決可
能だ(Solvency)と述べるのである。
Affirmative plan
① 肯定側によって示される政策のこと かつ② 論題を具体化するために存在しうる多
くの政策の一つのこと。
Agent of the resolution (or Agent of Change)
論題に充当した政策を採るために存在している権力機構のこと。
Agent counterplans/カウンターエージェントカウンタープラン
論題中のある主体が政策を実行する代わりに、別の主体が政策を実行すべきと論じる
Counter plan の一種。
A priori
正しくは prior to である。通常、他の全ての議論を考慮する前に、ある議論で勝敗を決め
るべきだと論ずるために用いられる。しばしば使われる方法としては、AD やDA といった
議論を考える前にTopicality といった議論を考慮すべきだという議論に用いられる。
Attitudinal inherency
現状の政策で放置されている問題を解決するために肯定側から示されたしかるべき政策を
採択する必要があるというInherency の示し方の一種。
【B】
Best definition/ベタースタンダード
通常否定側によって論じられるTopicality のStandard の一つ。プランが論題に充当するか
判断されるために最も妥当な定義を使うべきだと論ずるのである。逆に肯定側は、ベスト
な定義を選ぶ必要は無く、ディベートを行うためにある程度合理的な定義を用いれば十分
であると論ずるのである。
Blow up
1NC で示した議論を一つピックアップしてそれを2NC で数分間ひたすら論ずること。
(*訳注:日本では2Con(2nd constructive development)と呼ばれることが多い。)
Brief/ブリーフ
証拠資料及び議論がすでに整理されて印刷されている原稿のこと。
Brink/ブリンク
DA がまさに起きようとしている点のこと。これは現状ではDA は発生していないが、Plan
によって発生してしまうことを説明することに使われる。現状はある問題がまさに発生し
ている点にいるのだが、その点は超えたわけでないと論ずるのである。
Burden of proof/証明責任
ある議論を提出したディベーターはその議論を証明する義務を負うこと。
Burden of rebuttal
ディベートでは相手の議論に常に反論していかなければならないこと。
【C】
Card/カード
ある議論を証明するために使われる証拠資料のこと。かつては、証拠資料はカードとして
編集され使われていた名残。
Case
通常1AC で示される論題を肯定するための議論。
Circumvention
肯定側の政策が解決性が無いと論ずる否定側の議論の一つ。人々がプランに対し反対する
意思(motive)を持ち、プランをうまく避ける方法を見つけ出し、(mechanism)その結果、プ
ランの解決性が有効でなくなってしまうもの。(impact)
(*訳注:例を挙げると、飲酒・喫煙は未成年では禁止されているが、実際は未成年でも行
っている。)
Cite
証拠資料がどこから引用されているか記されているもの。通常、著者、題名、出版日、ペ
ージ、出版会社等を必要とする。他のディベーターがその証拠資料を再び見つけられるよ
うに書くべきである。
Clash
ある議論に対し相手チームと反論をしあってぶつかること。
Comparative advantage case
現状にはそんな深刻な問題があると論ずる必要はないが、そのかわり肯定側のプランをと
ることによって現状よりも問題が若干良くなると論ずるタイプのCase のこと。
Competition/競合性
否定側がカウンタープランを提出するにあたって、カウンタープランは肯定側のプランと
同時に採用することができないと示さなければならないこと。もしカウンタープランが肯
定側の政策と同時に採択不可能であり、かつ肯定側の政策の代わりに問題を解決できるの
であれば、肯定側の政策の必要性を否定することで否定側に対する投票理由になる。カウ
ンタープランと肯定側の政策を同時に採択するよりも、カウンタープランのみを採択する
方が良いと示すことが出来れば競合性を示したことになる。
Conditional
自分たちの議論を好きな時に捨てることが可能な状況のことをさす。(*訳注:日本では
Conditional は二つの議論が両立しない、もしくは両立しない二つのスタンスのことをさす
場合が多い。)
Conditional counter plan
ためしに試合中に提出して、もし不利な状況になったら捨てることが可能なCounter plan
のこと。よく使われる用法は“conditional and counter plan”
Constructive/立論
ディベートで前半に行う計四回のスピーチのこと。立論では試合で争う政策や議論が示さ
れる。
Contention
Affirmative Case を構築するに当たって、重要な点を一つのContention にまとめて論ずる
ために用いられる。
Context/文脈
① 引用した証拠資料と原版の間にある関係のこと。ディベートの試合において引用され
る証拠資料は、原本に書かれている意味と一貫した意味を持つことが期待される。(*訳注:
もし引用が原本から離れている場合Distortion といって、証拠資料として認められなくな
る。また、原本から意味が離れすぎている場合、悪質なものであったら罰則として大会成
績を取り消されることもある。)
② Topicality のStandard でよく用いられる。試合中に提示された定義が論題と関係ある
資料中の用語と一貫した意味を持つか、(*訳注:Field context と呼ばれる。) もしくは試
合中に提示された定義が論題の他の用語と一貫した意味を持つか決めるために用いられる。
(*訳注:Field Context に対し、文脈といういみでのContext である。)
形容詞はContextual である。
Contradiction/矛盾
二つの議論が互いに矛盾しており両立しないこと。もしくは二つの考え方が全く異なる考
え方であること。ディベートをするにあたって、自分の議論が自分もしくはパートナーの
議論と矛盾することは避けるべきである。
Counter plan/代替案
肯定側のプランに対して否定側によって提出されるより良い代替政策のこと。Counter
plan にはプラン、肯定側のInherency とImpact を解決するSolvency,そして競合性が必要
となる。
Counter plan advantages
カウンタープランを採用することによって得られるAD のこと。
Counter plan non topicality
論題を否定するために、カウンタープランが論題の範囲外にあること。
Co-option
論題とは関係ない勢力が、プランを実行しようとすることを妨げようとすること。
Criteria
どちらのチームがディベートに勝っているか決めるために用いられるディシジョンルール
や概念的な議論のこと。Criteria と呼ばれる議論は決して無視してはいけない。その
Criteria のために他の議論と関係なく勝敗が決まってしまうことがあるからである。
Critique、Kritik/クリティーク
相手側の議論に隠されている前提を指摘し、それを重大な誤りである、非難されるべきと
攻撃することによって相手側の議論を否定する議論のこと。
Cross Ex/反対尋問
あるチームのディベーター1 人が相手チームのディベーター1 人に議論を質問すること。
Cut evidence
本や雑誌などを直接コピーしたり、書いたり、切り貼りしてブリーフにまとめること。
【D】
Debatability
Topicality やその他のディベートセオリーに関わる議論の一つ。相手側のチームの論題の解
釈や、ディベートの競技としての捉え方が、ディベートを行いがたくし質を下げると指摘
することで、そのため許されるものではないと論ずる方法。
Decision rule
Criteria を参照
Disadvantage/弊害、デメリット
肯定側もしくは否定側の政策を採用した結果悪いことが起きると述べることで相手側の政
策を望ましくないと述べる議論。
Disco
相手の議論の大部分を認めて、その状態からAD などの議論を構築していく戦略のこと。
こういった戦略をとると、相手の議論にいちいち反論をしていく必要が無くなり、自分の
チームにとって好ましい議論に集中できることにある。
Discursive impact
スピーチ中の言葉を引用することで、ディベート中に使われている”言葉”はディベートの”
議論そのもの”よりももっと重要であると論ずる議論のこと。この議論は通常”言語クリティ
ークで用いられる。
Dispositional
競合性を認めることによって、議論(通常カウンタープラン)を放棄することが可能なこと。
Double turn/ダブルフリップ
DA 等を処理するために、Link turn およびImpact turn を提出すると起きる状態。相性の
悪いTurn を二回提出したためにひっくり返って、むしろAD が生じてしまう。
(*訳注:例を挙げると、環境税を導入してCO2 の排出をへらし温暖化をとめようという
AD に対し、①炭素税はむしろCO2 を増やす(Link turn)+②CO2 が増えることは食料増産
につながるのでむしろよい(Impact turn)という議論を提出すると、CO2 が増えるため食料
が増える(Double turn)が残ってしまい、逆にAD が発生してしまう。)
【E】
Effects topicality
プランそのもの自体は論題外であるが、プランの結果や行動によってプランが論題の範囲
内に収まってしまうもの。
(*訳注:陪審制制度を導入すべきという論題のときに、日本がアメリカに編入されるとい
うプラン自体は論題外であるが、日本がアメリカの一部になるとアメリカは陪審員制度が
存在するため、プランの行為の結果は論題の範囲内になってしまう。)
Emory switch
否定側の戦略の一種。1NC ではDA 等のPlan attack を行い、2NC ではAD に対してCase
attack を行っていくというもの。
(*訳注:NDT の強豪校であるEmory 大学が始めたからこの名前がついた。1AR に膨大
なプレッシャーがかかるが、Case attack が有効にしにくい、1NR でDA は立てにくい、
2NR がまとめにくいという欠点もある。)
Enforcement plank
肯定側のプランのうち、プランがどのように施行されるのか説明する部分のこと。通常あ
る政策主体がどのように施行するのか説明する。
Evidence/証拠資料
ディベートで行われる議論をサポートするために、ある程度の社会的信用のある書物から
の引用のこと。
Extension
同じ議論を内容を深めるために、ディベート中に何回かのスピーチにわたって説明するこ
と。
Existential inherency
Inherency の示し方の一種。現状に非常に重大な問題が存在していると証明した後に、現状
の政策ではそれを解決できないと示すことによってInherency を示すやり方のこと。
Extra topicality
一部のプランが論題外のものであるプランから生じたAD のことをさす。
【F】
Fiat/ファイアット、フィアット
ある政策を採択するのが望ましいかどうか判断するためには、その政策が実際に採択され
た状況を仮定して、それを基に考えなければならないということ。そのためディベートに
おいてはある政策が”実際に採択される”かどうかは示す必要が無い。
Field context
Topicality のスタンダードの一種。Topicality で使われる用語は論題について専門的に書か
れた定義から持ってくるべきだというもの。
Flip
Turn を参照。
Flow/フロー
ディベート中にディベーターによってとられるノートのこと。ディベーターはこのノート
を参考にしながらスピーチを行う。フローを取ることはある程度のテクニックを要求され
る。
Flow judge
ディベート中にフローを沢山とる経験豊かなジャッジのこと。
Flow sheet/フローシート
ディベートでなされた議論を記録しておくための用紙のこと。
Funding plank
プランを採択するのに必要とする費用をどのように捻出するか述べるプランの一部のこと。
【G】
Games theory
ディベートを教育的なゲームであるとみなす考え方。ディベートはゲームである以上、両
サイドのチームが均等に勝つチャンスがあるようにルールの公平性が必要であると考える。
Generic arguments
通常否定側によって提出される、ほぼ全ての肯定側のプランに対応する議論のこと。
Generic disadvantage
ほぼ全ての肯定側のプランにつくDA のこと。
Goals case
肯定側のCase の一種。現状で何か目標を達する必要があると示し、肯定側のプランでその
目標が達成されると論ずる。
Grammatical context
論題中の他の用語と文法的に一貫性を保って引用された定義のこと。Topicality で用いられ
る。
Ground
通常、肯定側及び否定側が守らなければならないポジションのことを指す。具体的に
は”Argumentative ground”のように用いられる。ディベートを公平に行うために、両サイ
ドのチームとも守るべきある領域が必要となる。そのためどんな政策も論題の範囲内にな
ってしまうような論題の解釈は、否定側のGround がなくなってしまうため(通常No
negative ground と呼ばれる。)不公平であるので斥けられるべきである。
【H】
Hasty generalization
価値ディベートのみならず政策ディベートでもよく見られていた議論の一つ。肯定側から
示されたような論題の一部の例だけで、論題が正しいかどうか判断を下すことはできない
と論ずるのである。
(*訳注:現在ではこのような議論はほとんどなされていない。)
Hypothesis testing/仮説検証
ディベートをある仮説が正しいかどうか検証するプロセスだとみなす考え方。ディベート
の論題を科学的な仮説だとみなし、ディベートの議論で論題が真かどうか判断するという
もの。関連のある重要な用語として" paradigms, presumption, policy-making, stock
issues”がある。
Hypothetical counter plan
conditional counter plan. を参照。
【I】
Impact/深刻性
ある問題がどうして重要なのか、そしてそれがどうディベートの試合に影響するのか説明
すること。Impact は証明を要する議論であり、証拠資料を抜きに議論すべきでない。
Impact turn
IImpact で扱っている問題は悪いことでなく、むしろ良いことなのだと論じる議論。DA の
項参照。
Independent advantage
他のAD が全てなくなっても、一部のAD が残っていたらプランを採択することを肯定で
きるということ。
Inherency/内因性
通常肯定側のCase に必要とされる。現状である問題が存在し、それが現状の政策では解決
できないと説明する。
Internal link
二つの議論の間にあるつながりのこと。ある議論を構築するための議論と議論の鎖の一部
のことである。
Intrinsic
DA は肯定側の政策の結果として仕方ないものであり、他に防ぐ手段が無いという状態のこ
と。肯定側はしばしば、Case の重要性とくらべるとDA は肯定側の政策にとって必要悪で
あり、仕方が無いことであると論ずる。
【J】
Jurisdiction
論題はディベートを行う者に陣地をあたえるものだ。だから肯定側は論題の領域の範囲で
何かを主張しなければならないということ。
Justification
肯定側は論題の全ての用語を正当化しなければならないと主張する否定側の議論。最近で
はそこまで支持されている考え方ではない。
【L】
Legislative intent
プランがこれから先未来にかけて、望ましいかどうかは主張された議論に基づいてなされ
るということ。
Link
二つの議論の間にある、原因と結果といったつながりのこと。通常否定側はDA と肯定側
のプランの間のリンクを探そうとする。
Link turn
肯定側の政策はDA を引き起こすものでなく、むしろそれを解決するものだと論ずるDA
へのアタックの一種。DA のLink turn の項参照。
【M】
Minor repair
現状で存在する政策を少し改変することによって、肯定側の扱っている問題を解決すると
いう否定側の議論。法律の大きな変更を必要とせず、現状の政策範囲内にあるべきである。
(*訳注:カウンタープランの一種とみなしてよい。)
Mutual exclusivity
カウンタープランの競合性の一種。もし肯定側のプランとカウンタープランが同時に存在
し得ないものであったならば、肯定側のプランとカウンタープランは競合的になる。
【N】
Need
肯定側が解決しようとしたい問題のこと。
(*訳注:Significance と同義語)
Negative block
2NC と1NR の間にあたって、否定側のスピーチが連続して行われること。1AR にプレ
ッシャーを与えるためにそれぞれ異なった議論が行われる。
Net benefits
カウンタープランの競合性の一種。カウンタープランのみを採択する方が、肯定側のプラ
ンとカウンタープランの同時採択よりも望ましいのであれば、カウンタープランと肯定側
のプランは競合的であるというもの。
【P】
Permutation
カウンタープランが肯定側の政策と競合的であるか吟味するための議論。カウンタープラ
ンと肯定側のプランがどのようにして同時採択できるか説明をする。
Philosophical competition
カウンタープランの競合性の一種。吟味されている肯定側のプランとカウンタープランが
異なった考え方をしているため、政策的に両立しないとするもの。
Plan
肯定側から提出される一連の政策のこと。通常:政策主体、行動、範囲、資金、施行など
が必要となる。
Plan attack
肯定側の政策そのものに関係のある議論のこと。(例:PMN, DA, Workability など)
Plan mandates
肯定側のプランで明らかにされる論題を具体化した政策のこと。
Plan-meet-need (PMN)/Plan-meet-Advantage (*訳注:PMA は付け加えました。)
プランがNeed(=inherency)を解決できないと論ずる議論。通常2NC で提出されることが
多い。
(*訳注:当然1NC でも多く提出される。)
Plan-side
プランについての議論が欠かれるフロウシートの部分のこと。
Plan spike
DA 等を回避するためにプランに組み込まれる論題とは関係の無い政策のこと。
Policy-making
ディベートを政策決定のシュミレーションであるとみなす考え方。肯定側と否定側の政策
の各AD,DA がどのくらいあるか評価することで、政策を評価する。
Political disads
DA の項を参照。プランを採択した政治的な結果のために、DA がCase を上回るであろう
と論ずる議論。
Political capital
政治家が政策を採択するに当たって必要とする政治的な資源の量のこと。ディベート中で
は、プランを採択することによって政治的な資源が消費されてしまい、他の重要な問題に
関する政策を採択するのに必要な政治的な資源が犠牲になると論じるのである。
Political focus
政治的指導者たちがある問題に対し集中して取り組むことが出来る能力のこと。ディベー
トでは肯定側のプランを採択することはお金や人手を要するために、他の重要な問題につ
いて取り込むことが出来なくなると論ずる。
Political popularity
政治家の支持率のこと。ディベートではプランが支持されているかどうかについて議論を
する。もしプランがあまり支持されていないものの場合、そのせいで政治家が人気を落と
してしまい、もっと重要なプランを採択できなくなってしまうと論ずる。逆にそのプラン
が人気のあるものであったら、政治家の人気が上がるので、他の重要なプランを簡単に採
択できるようになると論ずる。
(*訳注:いわゆる小泉DA と呼ばれるものがこれにあたる。あまり教育的な議論ではない。)
Preemption or preempt
まだ提出はされていないが、予想される反論に対しあらかじめ手を打っておくこと。
Prep time
各スピーチの途中にある準備時間のこと。
Presumption
この言葉は通常肯定側の政策が望ましいと示されない限り、現状の政策に留まるべきだと
いう前提のことをさす。
(*訳注:Presumption とは肯定側も否定側もある争点に対し議論を行わなかった場合、そ
の争点をどのようにみなすかという取り決めの意味もある。)
Prima faciae/プリマ・ファキエ
ラテン語で初見という意味である。ディベートで初めて提出される議論は論理的に完結し
ていることが求められる。決して完璧であることは求められていないが。
【R】
Reasonability
Topicality のスタンダードの一種。論題を解釈するにあたって、肯定側は極端に広くなく、
一見して合理的であると思われる定義さえ示せばよいとする考え方。
Rebuttal/反駁
ディベートの試合で後半に行われる短いスピーチのこと。立論で提出された議論を内容を
深めてもう一度議論しなおす。
Redundancy
カウンタープランの競合性の一つ。もしカウンタープランが肯定側と等しくAD を解決す
ることができたならば、肯定側はAD が論題に本質的であると示せなかったので、否定側
の勝利になるとみなす考え方。
Refutation/反論
相手側の議論に対し、解答を示したり、批判を加えること。
Reify
詭弁。間違っていることをあたかも正しいことであるように見えるようスピーチをするこ
と。例えば、マイノリティーを助けることは、人種についての考え方を正当化するため、
人種差別を肯定すると主張するかもしれない。「人種に対しては生物学的な証拠が無いので
あるから、特定の人種層の人を助けることは人種について誤った考え方を広めることにな
る。(ここがreify)だから人種主義を肯定する。」のようにいいながら。このような議論のこ
とをさす。
Resolution/論題
ディベートをするために存在するあるトピックのこと。
Retrench
現状の政策を補強してあげること。通常クリティークを議論するにあたって行う。例えば
「(肯定側の)政策の効果は現状に広まっている考え方を強化するものである。そのため、現
存している問題は解決せず、むしろ悪くなる」と論ずるのである。
Reverse voting issue/RVI
あるチームが何かを”voting issue”と論じる時に用いられる。それに対し,もしそれが”voting
issue”にあるのであれば、そう論じること自体が”voting issue”だと対戦チームは説明もで
きる。
Risk analysis
政策を決定するに当たって、問題が起こりうる確率は100%である必要は無く、その問題が
起こりうる確率を吟味することによって政策を判断するべきだという理論。
【S】
Sandbag
自分たちの最高の証拠資料をRebuttal まで隠しておいて、後になってその議論のImpact
として提出すること。
Scenario
AD やDA といった議論の話しの流れのストーリのこと。通常、誰が、何を、いつ、どこで、
今か、そしてなぜ行うのか示すと良い。
Shift
ディベートに対する見解を別のスタンスに変えてあげる議論のこと。
Should-would
肯定側の政策が採択されるべきだと示すにあたって、政策が実際に採択されると示さなく
ても構わないこと。
(*訳注:例を挙げると、郵政民営化は自民党が反対するから実現しないと論じても、依然
郵政民営化をするべきという部分は否定されていない。)
Significance/深刻性
Impact と同義語。通常肯定側のCase で用いられる。なんで現状で深刻な問題が存在する
のか説明する部分のこと。
Solvency/解決性
通常肯定側のCase で用いられる。肯定側の政策が、なぜ現状の問題を解決するか吟味する
部分のこと。
Spread
相手チームが全ての議論に物理的に反論できないように、膨大な量の議論を提出すること。
Squirrel case
論題を肯定するために、論題のあいまいな部分からCase を持ってくること。
Standards/スタンダード
通常はTopicality の議論に用いられる。論題の正しい解釈や評価をするために設定される
基準のこと。論題中の単語や文章の解釈がなぜ優れているかStandard を用いて説明をする。
(*訳注:通常否定側から提出される。)
Status quo/現状
いわゆる現在の状況のこと。(*訳注:正確には肯定側のプランが採択されていない状況の
こと。)
Stock issues
論争になっている政策が望ましいか判断するためにかつて(訳注:1980 年代以前)使われて
いた方法。政策をharm, Inherency, solvency, plan, disadvantages の各項目を満たしてい
るかどうかで望ましいか判断する。
Sub points
議論まとめるために使う。Contention やObservation といった大きい項目から一つ下の議
論をまとめる。
【T】
Threshold/変局点
Brink を参照。
Time frame
AD やDA がいつ、どのくらいの期間で起きるのか説明すること。
Topicality/とピカリティー、論題充当性
肯定側のプランは論題の範囲内に、否定側のカウンタープランは論題の範囲外に無ければ
ならないとする考え方。Topicality の議論は肯定側のプランが論題の範囲内にあるかどうか
チェックするのである。
Turn or turn around or flip/ターンアラウンド、反転
相手の議論をひっくり返すこと。 問題を引き起こしているのは自分たちの政策で無く、
むしろ相手側の政策なんだと論じてやることで、相手側の議論を逆転させてやる。(Turn)。
【U】
Uniqueness/固有性
あるシナリオがある問題の本質的な原因であるということ。もしDA が肯定側の政策を採
択してもしなくても起きてしまうものであるならば、それは“Not Unique”となってしまう。
そのために否定側のDAのImpact は肯定側の政策を採用することのみで起きるのだとと論
じよう。DA のImpact は肯定側の政策が無ければ起きないと論じるのである。
【V】
Value objection
通常Non Policy ディベートで用いられる。肯定側の価値に対し、カウンターとなる価値が
あると論じる議論のこと。自分たちの価値が肯定側の価値に比べて重要であると示さなけ
ればならない。
Voting issue/voter, 投票理由
それ自体のみでディベートの勝敗を決めてしまう議論のことをさす。よくTopicality の議
論で用いられる。
【W】
Whole resolution or (whole res)
一般にNon policy ディベートを行うにあたって、論題が真実であろうかどうか決めるため
に、論題を総論的にディベートするべきだという議論。論題が真実かどうか決定すること
ができるなら、通常否定側はある基準を提案しなければならない。
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2004年10月30日
デメリット [The Disadvantage] by 佐々木@UT
The Disadvantage (否定側弊害)
訳:佐々木翼(*1)
【1】Disadvantage とはなにか?
Disadvantageは一般にDA、disad、もしくは弊害と呼ばれる議論です。(ここからはDAと呼びます。) この議論は肯定側もしくは否定側の政策を採用した結果悪いことが起きると述べることで相手側の政策を望ましくないと述べる議論です。DAは否定側によって述べられることが非常に多いため、通常肯定側のADのメリットとDAのデメリットを比べデメリットの方が上回ると論じられます。
【2】DAの議論の各要素
DAの議論を構築するには幾つかの異なる要素を論じなければなりません。今からそれを述べていきたいと思います。
①Name/名前:ディベートの試合でDAの議論に名前をつけましょう。名前をつけるにあたっては、わかりやすくDAの議論を簡潔にまとめたものをつけると良いでしょう。
②Thesis/テーマ:DAを論ずるにあたって、ジャッジに対してDAの基本的なストーリーがどのようなものであるのか述べましょう。
③ Link/ンク、繋がり:相手側の政策を採用するとどうして弊害が起きるのか理由を述べましょう。否定側は肯定側の政策がなぜDAを引き起こすのか説明するのに数枚の証拠資料を引用します。
④ Internal Link/インターナルリンク:リンクを述べた上で、そのリンクがどうしてImpact/深刻性につながるのか論じるストーリーのことです。たまにあることですが、リンクを論ずるのみでは深刻な問題であると論ずることが出来ないことがあります。そのためにリンクがどうして深刻な問題に繋がるのか述べる必要があります。このことをインターナルリンクといいます。
⑤Impact/深刻性:問題がなぜ重大であるのか、どのようにして悪いのか論ずる必要があります。Impactになるものとしては通常非常に深刻で重大な問題が使われます。DAで肯定側の政策が望ましくないと論ずるためには、仮に政策が何かメリットをもたらすとしても、DAのデメリットの方が重大であると述べなければなりません。そのため否定側はDAのImpactを強調し、ADと比べてやらなければなりません。
⑥Uniqueness/固有性:DAが政策のみによって引き起こされると論じましょう。Uniquenessを論じる方法は様々な方法が存在します。具体的には、問題が将来発生しないと論ずるか、現在問題が起きそうだがぎりぎり耐えていると論じましょう。Uniquenessを論ずることによって現状と政策後の違いが浮き彫りになり、政策がいかにDAを引き起こすのか明確になります。ではその論じ方を見ていきましょう。
1) Linear(リニアー)シナリオ:何か問題が発生しており、相手側の政策でそれがもっと悪化すると論じる方法です。例えば、現在大気汚染によって現在多くの喘息が出ているとします。しかし、そこで大気汚染が進めば進むほど、喘息が増えていくと論じたらとうなるでしょう。肯定側の政策によって大気汚染の量が増えていくと示すことが出来れば、その分被害も増えていくと示すことができます。リニアーシナリオは簡単に示すことが可能なので多くのDAで論じられています。
2) Threshold(シュレッショルド、変局点)シナリオ:わかりやすくするために例を挙げます。缶ジュースが定価100円で売っていたとしましょう。スーパーがこの缶ジュースを90円に値下がりしたとしても余り大きな印象は与えないでしょう。しかし、缶ジュースが半額の50円になったらどうでしょうか?この場合は消費者に大きな印象を持って歓迎されるでしょう。だが缶ジュースが再び50円から45円に値下がりしてもあまり大きな印象は与えないでしょう。これは缶ジュースが100円から50円に値下げされるときに消費者の印象のブレークポイントがあり、一方90円に値下げするときや50円から45円に値下げする時はブレークポイントを超えないためあまり印象が与えられないからです。このように状況が一気に変わる点のことをthresholdといいます。否定側は肯定側の政策を採ることで問題がシュレッショルドを超えると論ずることでUniquenessを示すことができます。(*2)
3) Brink(ブリンク)シナリオ: ブリンクとはある問題が存在し、その問題が今にも起きてしまいそうな状況をいいます。ここで肯定側の政策を採るとブリンクを超え問題が一気に発生すると示すことでUniquenessを示すことができます。
4) バリアーシナリオ:現状である政策がうまく働いているとします。肯定側の政策を採用した結果、現状の政策が取れなくなる結果問題が発生すると論ずる方法です。
例:日本が台湾と国交を結ぶと中国と関係が非常に悪化する。
現状では日本政府が台湾と距離を置いている限り中国との関係はそんなに悪化しない。
(現状の政策によるUniqueness=バリアー)
国交を結ぶとそのバリアーが破壊されるため、中国と常に緊張状態になる。(Link)
5) Exclude シナリオ:これは肯定側が出してきた例に対し否定側がこれは例外であると示してUniquenessを示す方法です。
例:日本政府が遺伝子組み換え食品の輸入を米国から禁止すると米国との間で激しい経済摩擦が起きる。
今でもBSE問題などで食料品の輸入は禁止されている。(Uniquenessがない。)
BSEは例外。なぜならBSEに関しては米国側も危険性を認めているから。(Uniqueness)
遺伝子組み換え食品は別。なぜなら米国は遺伝子組み換え食品の安全性に大きな信頼を置いており、遺伝子組み換え食品は米国の世界戦略に組み込まれているから。(Link)
6) Uniqueness generating Counter plan:これは否定側が代案を自ら提出することでUniquenessを作ってやる方法です。
例:原子力発電所を全廃すると火力発電所が増え、大気汚染が増える。
今でも火力発電所が70%であるからUniquenessが無い。
ではCounter Planで既存の火力発電所を全て原発にする→Uniquenessが生ずる。
(*3)
【3】Threshold シナリオ通してDAを理解してみましょう。
Thresholdは一見難しそうに見える考え方です。しかし実際はそうではありません。ディベートが難しそうに見えるのに、実際そうでないように。もしあなたがThresholdを理解できるならば、もっと洗練された議論をすることができますし、ディベートや実社会に対してもっとよりよく理解できるでしょう。
崖から落ちることを悪いこととします。この例を通してDAを説明してみましょう。ああなたが崖に立っているとして、誰かに押されて落ちること(DA)を考えてみましょう。
・誰かに押されたなら(Link)、崖から落ちます。
・崖から落ちたら、まあ死ぬでしょう。(Impact)
・もし本当に崖にいたなら(Brink/Low Threshold)、ちょっと押されただけで(Link)転落するでしょう。
・もし崖から離れたところにいたら(High Threshold)ちょっと押されただけ(Link)では転落しません。かなり押されない(Link)と転落しないでしょう。
・当然ですが誰かに押されない限り転落しないとしたら、ずっと安全でしょう。(Uniqueness)
・崖を走っていて自ら落ちるほど勢いがついていたら、誰かに押されたとしても全然状況は変わりません。(Not Unique)
・もし崖が高かったら転落したら大変でしょう。(Big Impact)
・もし崖が低かったら、ちゃんと着地できるので怪我はしないでしょう。(No Impact)
【4】DAの実際の構造
多くのDAはリンク、Impactの順に始まります。必要に応じて、Uniqueness, Internal Link等を付け加えてあげましょう。
ここに原稿の例を挙げておきます
DA:CURRICULUM TRADE OFF(NAME)
a) THESIS: There is only so much time in the school day. When the affirmative team adds new things for students to study (Chinese) something else has to be cut from the curriculum. Art will be cut, and art is a much more valuable thing to study.
b) Affirmative adds study of Chinese to the required curriculum. (LINK)
c) Because length of the school day is set, something else will have to be cut (MAKES LINK UNIQUE)
d) Art is the first thing to get cut to make room for new courses (INTERNAL LINK)
e) Art is extremely valuable to education and personal development (IMPACT)
【5】他に覚えておくと便利な事項
① Time frame
Time frameとはDAがいつ起きるのか、どのくらいの長さで起きるのかについての概念です。もしDAがすぐ起きるものであれば、どんなに良いメリットが生じてもPlanは望ましくないでしょう。( と論じることが出来ます。) もしDAが長時間にわたって起きるものであれば、メリットがいかに大きくても長い目でみればDAの方が大きいということが可能でしょう。
②Preemption
もし肯定側がやってくるであろう反論を予想できるならば、あらかじめその反論に対し反論をしておきましょう。このような先制攻撃をPreemptionと呼びます。
【6】どうやってDAにアタックするか?
どんなDAも今まで見てきたように沢山の理由と要素から成り立っています。これはいわばリンクからImpactまで繋がる鎖のようなものです。そこでこの鎖のうち弱いと思われるところにアタックしてあげましょう。もし一箇所でも重要な鎖が切れたら、その瞬間DAはとても小さくなります。
① あなたの政策に対しリンクがないと示しましょう。(No link, Link take-outと呼ばれます。)
否定側から提出されたDAに対し、肯定側の政策は全く問題を引き起こさないのだと論じてあげましょう。
② Impactが無いと論じましょう。(No impact, Impact take-outと呼ばれます。)
DAが起きても全く深刻でないと論じてあげましょう。
③ Internal linkのどこかを切ってあげましょう。(No internal link, Internal link take-outと呼ばれます。日本ではプランからDAがそもそも起きないことをNo initial link, Internal linkを切ることをNo linkと呼ぶことが多いようです。訳注)
DAがInternal linkのどこかを欠いていたならばその瞬間DAは成立しません。このことを説明して、このInternal linkが無いことはDA全体にとって重要であるのだと論じてあげましょう。
④ Link turnを出しましょう。(*4)
リンクターンでは肯定側の政策がむしろDAで扱っている問題を解決すると論じます。
例:環境税を導入すると経済的負担が増え、企業が倒産する。
Link turn:環境税で技術開発が促進されるのでむしろ経済が活性化する。
⑤ Impact turnを出しましょう。(Link turnとは別の議論になります。)
Impactで扱っている問題は悪いことでなく、むしろ良いことなのだと論じる議論です。
例:プラン後に喫煙者が増えタバコの害が増える。
Impact turn:タバコはむしろ体によい。
⑥ Not intrinsicを出しましょう。
これはDAがおきても他の力によってImpactが起きないというリンクに対するアタックです。
⑦ 相手の議論の矛盾点をついてDAを関係ないものにしてあげましょう。
例えばDAがCounter planにも起きる場合、Counter planと肯定側のプランを比べる場合はDAは考慮しなくてもよいことになります。同様にSolvencyが無いという議論とDAのリンクが矛盾していることは多々あります。そこをついてあげましょう。
例:育児休暇を強制することで男性に育児をさせる。
PMA:男性は育児をしない。
DAのリンク:男性が育児をすることで女性が社会進出し、離婚が増える。
この場合はPMAの議論でDAのリンクが切れてしまう。
⑧ Uniquenessを叩きましょう。(Not Uniqueと呼ばれます。) (*5)
1)No brink:肯定側の政策をとってもブリンクを超えるほどの影響は出ないと論じましょう。そのためブリンクが永遠に続くのだと論じてあげましょう。
2)Not Unique in future:これはDAで述べている問題が、現状でも結局発生してしまうと述べる議論です。当然のことですが、結局問題が発生してしまうなら、その問題はあまり考慮されるものではありません。
3)Empirically denied:これはDA述べている問題と非常に似た問題の例を挙げることでリンクを切ってあげる議論です。
例:プランで北朝鮮に食糧支援を行うと、北朝鮮が戦争を起こす。
Not Unique→数年前すでに食糧支援を行った。すると肯定側の政策と同じような政策がとられたのにDAが発生しなかったためリンクを切ることが出来ます。
この場合は否定側はNot Uniqueの例ではなぜDAが起きなかったのか、肯定側の政策ではどのような違いがもととなってDAが起きるのか説明しなければなりません。
4)No threshold:肯定側の政策をとってもThresholdを超えるのか?超えないならばどれくらいの影響が出るのか、余り重要ではないと反論してあげましょう。
最後によく言われることですが、Linkを強めすぎるとUniquenessが切れ、Uniquenessを強めすぎるとLinkが切れることが多々あります。そのため1ARは2NCをしっかり聞いて相手の議論を逆用してUniquenessを叩いてやりましょう。
⑨ Case outweigh:Case sideで扱っている問題の方がDAのデメリットより大きいのだと論じて上げましょう。当然ですが、ADのメリットの方が重要であるならば肯定側の政策が望ましいことには変わりはないからです。
【7】DAで勝つにあたっての注意点
① 相手の反論には全てしっかり反論しましょう。相手の議論をドロップしないように。
② どうしてプランがUniqueにImpactを引き起こすのか説明しましょう。
③ 特に肯定側のTurnは丁寧にしっかり反論しましょう。
④ Impactを強調して、どうしてADよりも大きいのかしっかり印象付けましょう。
【8】DAを構築するのを失敗した場合。
肯定側がDAに対し、たまにものすごく強い反論をしてくる場合があります。その時は相手の反論にいちいち反論して時間の無駄遣いをするのでなく、とっととDAを捨ててしまいましょう。このことが戦略的に行えるようになれば、より良いディベーターになることが出来るでしょう。
① 返せなさそうな反論があるならば、時間を無駄にしないためすぐにあきらめましょう。
② DAを捨てる時はちゃんとジャッジにその旨を伝えましょう。するとジャッジにはよりよい印象を与えます。
③ もしDAにTurnが残っている状態で捨てるならば、しっかりturnは処理しておきましょう。Turnが肯定側にとって勝つ大きな理由になってしまうからです。この場合はしっかりTurnを処理してからDAを捨てましょう。(*6)
④ Turnを処理するにあたって、Turnと矛盾している反論を肯定側がしてきた場合はその議論を認めてTurnを処理しましょう。これによって時間を節約できます。
⑤ Turnを処理するにあたってはNot Uniqueの議論には気をつけましょう。詳しくは後半のStrategic Handling of Disadvantageで!
*1 東京大学理学部三年化学専攻・東京大学ESS Debate Section OB
*2 この例は訳者が付け加えました。
*3 この三つの概念は原本には存在しないものの、非常に重要な概念なので訳者が付け加えておきました。
* 4 出している例の多くはわかりやすくするために訳者が加えました。
* 5 Not Uniquenessに関しては訳者が原本にかなりの改定を加えました。
* 6 訳者もこれで負けたことが一度あります。
投稿者 misudo : 20:14 | コメント (1185) | トラックバック
2004年10月25日
付録その4:ウェブサイト
付録その4:ウェブサイトの簡単なリスト
DEBATE CENTRAL
http://debate.uvm.edu/
URBAN DEBATE LEAGUES
http://debate.uvm.edu/udl/udl.html
ディベーターのためのオンライン・ビデオ
http://debate.uvm.edu/broadcast.html
NATIONAL FORENSIC LEAGUE
http://debate.uvm.edu/nfl.html
EASTERN EVIDENCE社のディベート関連商品
http://debate.uvm.edu/ee.html
PARADIGM RESEARCH社のディベート関連商品
http://www.oneparadigm.com/
WEST COAST RESEARCH社のディベート関連商品
http://www.wcdebate.com/
教育向けの、リサーチ用リンク集
http://debate.uvm.edu/udl/udlresearch.html
URBAN DEBATE LEAGUESについての情報
http://debate.uvm.edu/udl/udlinfo.html
OPEN SOCIETY INSTITUTEの高校生ディベートプログラム
http://www.soros.org/usdebate/
大学でのディベートの機会
http://debate.uvm.edu/udl/udlcollege.html
投稿者 misudo : 18:21 | コメント (5249) | トラックバック
付録その3:原稿のサンプル
投稿者 misudo : 18:17 | コメント (3266) | トラックバック
付録その2:フローシートのサンプル
投稿者 misudo : 18:06 | コメント (455) | トラックバック
付録その1:映像
付録 その1:ビデオ
Open Society Institute と World Debate Institute の協力のもと、教育用の映像シリーズが作られています。これらのビデオは、米国各地のUrban Debate Leagueコーチたちに供給されています。Open Society Instituteがスポンサーとしてついている関係で、私はこれらのシリーズを商業的に配布することができません。このうちのいくつかは、
http://debate.uvm.edu/
[訳注:Debate Centralの公式サイト。こちらの日本語版サイトでは、「Video」の項目に整理して置いてあります]
で見ることができます。この本と一緒に使えるように、ここにいくつかのリストを載せておきます。みなさんは、別にこの順番に従って見る必要はありません!基礎的な教育用ビデオは、
http://debate.uvm.edu/broadcast.html
からも見ることができます。
1、 連邦主義ディベート (上級者向け) 1:43
2、批判的ディベート [crituque debate] (上級者向け) 1:26
3、ディベートという福音の伝道: 新米ディベーターの教育 (指導者向け) 45 min.
勧誘と訓練 (指導者向け) 53 min.
4、戦略的指導 (指導者向け)57 min.
教育論題の戦略 (指導者向け) 1:27
5、ディベートと、私のコミュニティ - Larry Moss (あらゆる人向け) 1:05
ドリルと、練習セッション (指導者向け) 47 min.
6、教育トピック:入門編 (あらゆる人向け) 57 min.
教育トピック:Argument (あらゆる人向け)1:01
7、リサーチ(上級者向け) 53 min.
ディベートとは、壮大なパネルディスカッションである(全ての人向け)51 min.
8、生徒からのアドバイス - Winston Benjamin (全ての人向け)12 min.
UDLのプロモーションビデオ [Atlanta] (全ての人向け) 9 min.
Therrell 高校のディベートビデオ (全ての人向け) 18 min.
Kansas City 市長の表敬ディベート (全ての人向け) 8 min.
UDLのプロモーションビデオ [全国版] (全ての人向け) 8 min.
UDLを経験した生徒のパネル (全ての人向け) 60 min.
[訳注:以下のビデオについては、日本語版サイトの「Video」→「初心者向け」の中に整理しておいてあります]
9、 Basic Instruction 1-2-3-4
1. ディベートをざっと見渡してみよう (初心者向け) 30 min.
2. 定常争点 [stock issue] (初心者向け) 30 min.
3. フローシートの取り方 (初心者向け) 30 min.
4. 証拠資料 (初心者向け) 30 min.
10 Basic Instruction 5-6-7-8
5. 肯定側 その1 (初心者向け) 30 min.
6. トピカリティ (初心者向け) 30 min.
7. デメリット [DA] (初心者向け) 30 min.
8. カウンタープラン (初心者向け) 30 min.
11. Basic Instruction 9-10-11-12
9. クリティーク (初心者向け) 30 min.
10. 質疑応答 [Q&A] (初心者向け) 30 min.
11. ディベートでの判定の出し方 (初心者向け) 30 min.
12. 肯定側 その2 (初心者向け) 30 min.
12 Basic Instruction 13-14-15
13. ケースを攻撃する (初心者向け) 30 min.
14. 効果的なスピーチと話し方 (初心者向け) 30 min.
15. 大会経験 (初心者向け) 30 min.
13 初心者の見本ディベート (初心者向け) 41 min.
投稿者 misudo : 17:54 | コメント (445) | トラックバック
2004年09月12日
肯定側立論 [The Affirmative Case]
どうして肯定側はcoolなのか
* あなたの領域
あなたには、自分が何について議論をしたいのか、何をしたいのかを決めるチャンスがあります。 自由にアイディアをコントロールすることができるのです。
* あなたの罠
あなたは、否定側に対して罠をしかけ、相手の議論への反論を隠し、弱い議論を守るように誘惑することができます。肯定側の立場からディベートすることは、コミュニケーションにおける戦略を学び、上達させるために最適であり、これらは後々他の機会で活かすことができます。
* あなたの主張
あなたは、自分が支持したいもの、主張したいことを決めることができます。あなたが公共の場で自分が望む変化を提案することで、他の人々が反論し、そのアイディアを試すことができます。将来、あなたは立ち上がって何かを提唱する人物になる必要があるでしょうが、今こそ求められているトレーニングを受けるときなのです!
Affirmative Caseの選択
ディベートを始めたばかりの人の多くは、肯定側立論を「与えられ」ます。これはスタートを切るには良い方法ですが、あまりそれが長くならないうちに、皆さんは自分で肯定側の立論を作れるようになる必要があります。たとえもし、あなたがcaseを「与えられ」たとしても、それに変更を加え、面白い表現を追加し、それを「あなただけのもの」にしてください。実際に自分で肯定側のcaseを書くときが着たら、いくつか心に留めておいてほしいことがあります。
*強力な文献資料
あなたには、良い証拠資料が必要です。自分のcaseの案に関連して書かれた記事や本があるといいでしょう。自分の目的を満たすようなデータや事実を整理する勉強になります。自分のアイディアに関する資料がたくさんあっても、恐れることはありません。文献や資料についてよく知っている限り、このディスカッションを始めたときから、あなたはほとんど常に相手より有利な立場に立っているはずだからです。
*文献資料があなたのやり方を変える
本当に完璧なアイディアなんてまず存在しないのですから、自分のcaseに反論している資料があっても、恐れることはありません。否定側の議論を予想することが出来るので、両サイドの資料をもっているのが一番です。しかし、問題の論点について、圧倒的多数の資料にあなたの側を支持してほしいこともあるでしょう。そのときは、あなたはいつでも「専門家の大多数は自分の意見を支持している」と主張することができます。
*あなたの主張:より良く、より深く、より矛盾を減らすように
自分が信じる領域をcaseとして取り上げれば、ディベートのなかでより素晴らしい仕事をすることができます。その分野についてより興味をもって学ぶことが出来ますし、リサーチや準備も容易になるはずです。また、肯定側のcaseが自分の他の信念・価値観にフィットしたものになることから、ディベートする際にもより矛盾を少なくすることができるはずです。
*否定側は予測できる
否定側の対応を予測できるような肯定側のcaseを採用するといいでしょう。もし、あなたのcaseに対する反論の資料が、何度も何度も同じことを繰り返し言っている傾向があるなら、しめたものです。相手の議論を比較的少ない数にしぼって、準備することができるからです。
*一番ありがちな議論は、避けるか、ひっくりかえす
確かに、多くの論題では否定側の議論は非常に予測しやすく、一方で広範囲に及びます。一番ありがちな普通の否定側の議論は何かを見極めたうえで、それに答えられるような形でcaseを用意し、より良い形で相手の議論をひっくり返してしまいましょう。想像力に欠けるつまらないディベーターたちは、いつも同じ「なんにでも使える議論 [generic argument]」を使ってきます。あなたは、彼らのような人たちを尻目に、勝利に勝利を重ねられるような領域まで到達したいはずです。
* 「ありがちな普通の」Case
否定側のチームは、もっともありがちなcaseに対して、一番よく対策をしてくるはずです。このため、その分野で一番普通のcaseは、あなたは使いたくないかもしれません。でも、もしあなたのcaseがほんの少し普通とは違っていれば、否定側はおそらく準備がととのわず、初めてそのようなcaseに対して試合をすることになるでしょう。
準備 [preparation]
肯定側のcaseを準備するということは、自分のリサーチの結果とアイディアをどれだけまとめられるかにかかっています。リサーチは、おそらくディベートで学べる技術の中でも、もっとも大切なもののひとつです。現在は情報化時代であり、情報を発掘できるということは、金を発掘できるのと同じくらいの意味があります。今すぐ学びましょう。そうすれば、後の人生で、あなたは金塊と同じくらい価値のある貴重なものを見つけることが出来るはずです!
* リサーチ:利用できる資料を「scan」する
図書館にいき、資料を探し始めましょう。「ざっと目を通す[scan]」という単語が、ここではキーワードになります。見つけたものをとりあえず読み始めるようなやり方では、何も得られません。あなたは、図書館が持っている全てのものを「scan」し、最高の資料は何なのかを見極め、そしてそれらを最初に読むのです。この本の中の「リサーチ」ガイドを参照してください。自分のテーマに沿ったあらゆる種類の文献 ---書籍、リサーチする分野の専門雑誌、政府文書、インターネットのサイト、一般雑誌、新聞、その分野の専門家グループが発行した詳細なプリントなど --- を、確実に調べるようにしてください。
* どうやって読むのか:「scan」する方法
さまざまな文献を見つけたら、それらを整理・選別し、まず最高のものから見ていきましょう。ここで再び、「scan」という言葉がキーワードになってきます。単に本を選び出し、それを最初の1語から最後まで全部読むようなやり方ではいけません。そんなやりかたでは、絶対に終わらないでしょう。かわりに、本を選んだあと、「scan」するのです。章の見出しを見て、あなたが欲しいものが含まれていそうなところを探し出し、そこを最初に「scan」します。章を「scan」するときには、最初の数段落と、最後の数段落を読みます。もし良さそうに思えたら、段落単位で章を「scan」しましょう。段落を「scan」するには、最初の1文と最後の1文を読みます。もし、自分が探している分野に有益に思われたら、段落全体を読みましょう。このやり方なら、何百ページもの関係ない中身を読むことなく、本当に必要な段落だけを読むことができます。あなたのcaseのキーワードを、本の目次から探すのを忘れないようにしましょう。雑誌の記事や、ほかの出版物でも、基本的に同じことをやります。膨大な資料を「scan」することで、自分が求めているものを正確に探し出せるようになれば、あなたはもう情報化時代の勝者です。
*否定側の議論を認識し、断ち切る
同じように、否定側の資料や議論も、必ず探しておくようにしてください。どのような反論があるのかを理解しない限り、自分のcaseを完全に理解したことにはならないのです。この本の「証拠資料」の章にある、資料の扱い方のガイドラインを参考にしてください。
* 資料の整理:お決まりの論点 [stock issue] の形にしてみよう
資料を集めたあとは、それらを内容に応じて整理する必要があります。お決まりの論点 [stock issue]に基づいて整理するのがもっとも良いでしょう。あなたは、重要性、内因性、解決性/プラン、否定側、デメリットへの反論 [significance, inherency, solvency/plan, negative, answers to disadvantages] といった、カテゴリーをもっているはずです。資料を整理するときは、いつもその資料がどの議論に結びつくのかを考えるようにしましょう。キーワードに基づいて整理してはいけません。たとえば、「先生」についての全ての資料を、同じところにまとめてしまうのは失敗です。それらは、先生が良いと言ってたり、悪いと言っていたり、先生がプランを忌み嫌っていると言っていたり、プランが教育を良くすると言っていたり、と様々だからです。あなたは、資料をディベートのなかでどのように使うかによって、資料を整理する必要があります。
* 足りない資料や、資料の弱点を認識する
単に偶然見つけた資料だけを集めるのではなく、自分が「必要としている」資料に注意を払うのを忘れないようにして下さい。そのような資料を探し出すには、特別なリサーチをしなければなりません。あるいは、その資料なしでもcaseを使えるような道を探し出すのも一つの手です。
Affirmative Caseを作る - 肯定側の最初のスピーチ
肯定側の最初のスピーチは、ジャッジにとっての第一印象となります。ご存知のとおり、第一印象は大切なものです。最初のスピーチで、ジャッジが自分たち自身や、そのアイディアに良い第一印象を持ってくれるように努めましょう。
* スタイルとレトリック [言葉を飾ること]
色とりどりの、しかも洗練された言葉を使いましょう。次々と証拠資料を繰り出すだけではなく、その資料が何を証明しているのか、なぜその議論が大切なのかを説明するような、強力なメッセージも示すべきです。自分たちのcaseをジャッジに「説明する」ために、言葉を使いましょう。そして言葉遣いの中に、自分のスタイルと気品を示すのです。
* ジャッジによって、バージョンを変える
ジャッジによって、異なる1ACを使いたいこともあるでしょう。遅いスピーチを好むジャッジもいれば、早いスピーチを好むジャッジもいます。ディベートの試合が始まる直前の数分間で1ACを編集・変更しなくてもすむように、あらかじめ2つの違うバージョンを用意しておきましょう。
* 主題文 [thesis statement]
1ACの最初に論題を読み上げ、それからまず、自分たちのcaseのバックにある主題を2~3文で説明しましょう。証拠資料や細かい点 [subpoint] について語り始める前に、全体のおおまかな方針をジャッジに伝えておくことは、いつも有効です。
* 論点[contention] 分けとタイトル付け[tag]
論点分けは、少なめに明確に行いましょう。なるべく、定常争点 [stock issue] にマッチするように論点を分けます。各論点での見出しの言葉使いは、ジャッジが簡単に書き取れるように、わかりやすく簡潔なものにします。あまりに多くの小さなポイント [subpoint] を気にしすぎてはいけません。自分たちのアイディアを大きく見せるのです。断片的で小さい、という印象を与えてはいけません。また、大切な論点については、繰り返してもかまいません。そうすることで、ジャッジの理解がより確かなものとなるはずです。
* 並べ方:論理的な順番にする
議論を、意味のあるグループに配分しましょう。たとえば、「どうしてプランが問題を解決するのか」という点に関する全ての議論を、1つのcontentionに入れる、といった具合です。スピーチを組み立てるに当たっては、問題解決型のフォーマットに従いましょう。たとえば、次のようなパターンを試してください:
問題 (significance)、原因(inherency)、解決法(plan)、実効可能性(solvency)
このやり方なら、ジャッジやほとんどの人を納得させられるはずです。
* inherency : 他の地域では問題が多い、しかし必要とされている(?)
皆さんは、まずinherencyを示さなければなりません。しかし、注意しましょう。これは皆さんを悩ませることになります。詳細は、この本の「Caseを攻撃する」のInherencyの章を参照してください。あなたは、いくつかの種類の中からinherecyを選ぶことができます。
* 態度の問題 [attitudinal]
国民や政治家、その他の人々は、プランの導入を望んでいないか、問題を解決したいと思っていない。
* 構造的な問題 [structual]
法律や規制、物理的な制約などが、プランの実行を妨げていたり、問題への解決策を妨げていたりする。
* 実害に関するinherency
現状で行われようとしている解決策は、「悪い」ものであり、何らかの実害 [harm]を引き起こす。そして、肯定側のプランは、こうした実害なしに、問題を解決することができる。
* 存在するのかどうか [existential]
それほど強力なinherencyではありませんが、みんながこれを使います。ここでは、果たして問題そのものが存在するのかが争点となります。世の中のどこかにはinherencyが「存在する」に違いない、としつこく主張しましょう。
* 重要性、インパクト、メリット [significance, impact, advantage]
次の定常争点[stock issue]は、重要性 [significance]です。プランの必要性を重大なものに思わせるため、必ずこの点を明確に描き出すようにしましょう。そのために、たくさんの方法があります。
* メリット vs 被害 [advantage vs harm]
Advantages and harms say the same thing in a little different way. An advantage says that if we adopt the plan things will be better, while a harm states that bad things are happening now and we need to stop them. Advantages are best when your impact is in the future, harms are better when our impact is in the present.
* QUALITATIVE DIMENSIONS
Every impact and bit of significance talks about some bad thing that needs to be avoided. Sometimes it is a qualitative statement, in that it is not susceptible to numerical evaluation. You can't assign a dollar value to freedom or a weight to beauty, because these are qualitative concepts. Nevertheless they are very important. Very few thinking people would sell themselves into slavery, for example, at any price.
* QUALITATIVE DIMENSIONS
Some impacts are clear in their implications and need only be counted. Deaths, illnesses, children in poverty, these are all things which we readily accept as being bad, so the only question is how many of them can you specify in your case? Find big harms and then find big numbers to represent them.
* EMOTIONALLY LOADED
Find harms that pull at people's hearts. Show compassion and concern for those you identify in your case as being harmed, because after all, it is they you are advocating for.
* PLAN
Your plan is what you really advocate and is the most strategic portion of your affirmative case. Make sure it is clearly and carefully written. Here are some suggestions for plan construction.
* MATCH THE RESOLUTION
Use as many of the words in the resolution as you can in your plan, because it makes it sound a lot more topical.
* AGENT: SINGULAR OR INCENTIVE ORIENTED
You need some agent to carry out your plan. Certainly you need to use the agent identified in the resolution (such as the federal government), but beyond that you should indicate what part of that agent will implement the plan. As well, you might want to have the agent in the resolution give incentives to other groups or levels of government to carry out the plan.
* ACTION: WHAT, HOW MUCH, NOW LONG, MODEL, ADVOCATE
You need to specify the action in your plan. What is it that will be done? How much will you do it? How long will it take to implement the plan? You might consider using a model program as a guide for your plan ("We will do nationally what they do in Wisconsin"). This makes it easier to defend your plan as working, since it works in Wisconsin. You might also want to identify an advocate, probably someone you have good solvency evidence from, by saying"We will adopt the school voucher proposal presented by Dr. Ivan Feelgood of the University of Montana."Again, that may make proving solvency easier.
* FUNDING: NORMAL VS. TARGETED
You need to pay for the plan. You can do that by either using"normal means"(money gets appropriated by Congress like normal) or you can have targeted funding (such as cuts in a new and expensive bomber for the military). Either way, you need to be able to say how you pay.
* ENFORCEMENT: NORMAL VS. TARGETED
You need to make sure the plan has the force of law, or else people who don't like it will simply ignore it. You can utilize normal means for enforcement (executive branch, police, courts) or you can have a specific agent to enforce it (Inspector General of the United States).
* INTERPRETATION
Your plan can never be complete because your speech is limited in length. You might indicate in your plan that affirmative speeches will clarify plan particulars if necessary. After all, you don't want the negative clarifying what the plan does.
* SOLVENCY
Solvency is the most important of the stock issues the affirmative must prove in 1AC. You get no credit for pointing to a problem, only credit for solving it. This is also the stock issue the negative is most likely to attack.
* HOW IT HAPPENS AND WHY
Make sure your solvency evidence and your rhetoric explains to the judge how and why your plan solves the problem or gains the advantage. These explanations will help you defend against negative attacks. Judges hate to vote for plans when they don't understand how they work.
* RANGE OF SOLVENCY
Indicate how much of the problem you will be able to solve. Don't worry that you can't solve all of the problem, because your plan will still be a good idea even if it isn't perfect. However, you need to be able to indicate a range of solvency: we solve some important part of the problem, we solve half the problem, we solve almost all of the problem, we solve all of the problem. As long as you can sole SOME of the problem you have met the solvency burden, but the more you solve the better off you will be.
* USING A MODEL OR EXAMPLE
Feel free to copy some plan which has already shown itself to be successful. Then read the results of that specific program as your solvency evidence.
* SOLVENCY ADVOCATE
While not essential, judges generally like it and many negatives will demand it -- some specific author who says your plan is a good idea.
* OVERCOME THE INHERENCIES
If you identify inherent barriers make sure your plan can overcome them.
* FRONTLOADING: MOST NEEDED EVIDENCE FOR 2AC
Also put evidence in the 1AC which you can use later. Hide it somewhere, and then in 2AC you can use it without having to waste the time reading it. For example, you can hide evidence to turn the disadvantages, evidence to permute the counterplan, and independent solvency evidence. Often a good place to hide such evidence is near the end of the 1AC because the negative is all concerned about what they are going to say in the 1NC and the bottom of the 1AC is probably the last place they will get to in their 1NC.
THE CODE OF THE DEBATER
私はディベーターです。
私は、このcode of the debaterを守ろうと努力することで、ディベーターの名に恥じない人間となろうとするものです。
自分自身に対して:
私は、論題について調査し、自分が語ろうとしているものについて知識を身につけます。
私は、自分のディベートの対象を尊重します。
私は、威圧や暴力よりも、説得を選びます。
私は、勝利から学び、敗北からは特に学びます。
私は、寛大な勝者となり、礼儀正しい敗者となります。
私は、今や自分が世界の一市民となっていようとも、出身地を記憶しつづけ、尊重します。
私は、他人への批判を、自分自身へも当てはめます。
私は、他人の中に自分を見出そうと努力します。
私は、ディベートの中で自分が担当する立場を支持するため、なしうる最高の議論を展開します。
私は、人生において、どちらの側を支持するか決めるために、なしうる最高の議論を用います。
他の人に対して:
私は、もし賛成できかねるようなものであったとしても、相手が自由にスピーチや表現を行う権利を尊重します。
私は、自分のパートナー、対戦相手、ジャッジ、コーチ、そして大会の運営者を尊重します。
私は、自分や相手の議論・資料に、誠実に対応します。
私は、より経験の浅い人たちを助けます。自分は学ぶ側であり、同時に教える側でもあるからです。
私は、人生において、必要な側に味方し、権力に対しても真実を語りかけようとする、唱道者となります。
今すぐディベートをはじめよう!
あなたのクラスでも、ディベートは今すぐ始められます。
公会ディベート [Public Assembly Debate] をしよう
新米ディベーターにとって、論題について考え始めるのと同時に、人前でスピーチする練習をするチャンスにもなります。これまでに私たちは皆さんが使える論点をいくつか提案してきましたが、さらに自分で論点を考え出しても構いません。
この練習は、昔かたぎのバーモントのタウンミーティングをモデルにしています。ここでは、時事的な問題が話し合われます。遠慮なく手をあげて、問題となっている議題に対して賛成か反対の簡単なスピーチをして下さい。手をあげて、当てられて、部屋のまえに来て、自己紹介をし、言いたいことを言うだけです。自分がやりたいと思うなら、どんどん行きましょう。みんなにもスピーチをするよう働きかけて下さい。ただ、もしスピーチをせずに見ていたい人がいたら、それもまた良いことです。
練習が進むんできたら、遠慮なく立ち上がって、他の人が言ったことに対して賛成・反対をしてください。学生の一人を、聴衆に発言を求める議長に指名することもできますし、先生が議長になることもできます。あるいは、先生も1人の聴衆となって、スピーチをすることもできます。
論点 [The Issue]:「tracking」としても知られる、学校での能力別クラス編成。生徒たちはその能力を評価された上で、その能力に「適切である」と思われるクラス・学習環境に編入される。どんな科目分野にも、高・中・低学力の生徒がおり、従って、グループ分けされる。
論題 [THE MOTION]:この公集会は、理科・数学・歴史・英語を含む(がそれに限定されない)学習機会やクラスの指定には、能力別編成あるいは「tracking」は行われるべきではないと信じる。生徒はこれまでどおり、学年や必修科目の修了状況をもとにクラス分けされる。
[This assembly believes that ability grouping, or"tracking,"should not be used in assigning students to classes or learning opportunities, including but no limited to science, mathematics, history, and English. Students may still be assigned to classes based on their grade in school or on having fulfilled prerequisite courses.]
[訳注:上は、論題と論点の例だと思われます]
ミニ・ディベート [Debate Skirmish] をしてみよう
自分や他の生徒が関心を持てるような論点を選びましょう。論題には、自分の好きなどんな論点でも選ぶことができますが、私たちは皆さんに1つ例を与えています。生徒に興味と関心を持たせる論題を取り上げることは、どんなときでも良いことです。
論題:高校は、日本と同じように無償になるべきである。[High school should be voluntary like it is in Japan.]
2人1組のチームを、肯定側と否定側の2つ作ります。両サイドから見た論点について一般的なディスカッションをし、それらを黒板に書くため、10〜15分の時間をとりましょう。この時間のあいだ、2つのチームはアイディアや戦略を練っていることができます。ディスカッションのあと、どの議論を使うかを考えるため、さらに5分間時間をとります。
以下のような、とても短いディベートをしてみましょう:
肯定側の1st speaker - 3分
否定側の1st speaker - 3分
肯定側の2nd speaker - 3分
否定側の2nd speaker - 3分
両チームについて、聴衆や相手チームからの質問を受け付けましょう - 10分
否定側のスピーチのまとめ - 3分
肯定側のスピーチのまとめ - 3分
このディベートは、約30分かかります。ディベートで1試合議論をしたあとも、次の授業の時間には、同じ論題について、別の生徒と2試合目のディベートをすることができます。
これで皆さんもディベーターです! "ディベーター道 [code of the debater]"を口に出して、すぐに次のセクションへと進みましょう!
[訳注:次のページに載っているcode of the debaterを、大きな声でみんなで読み上げよう!と言いたいようです]
ディベートの枠組み
太字になっている単語の多くは、あなたがディベートへの関係を深めていくにれて、さらに学んでいく必要のある概念です。この本の終わりには、用語解説があります。
肯定側第一立論 [First Affirmative Constructive Speech](1AC)
8分間
肯定側の論題についての主張をうち立てます。
解決できる問題が存在します。 - 重要性、被害、メリット [SIGNIFICANCE, HARM, ADVANTAGE]
現状のままでは、変化なしに問題を解決することはできないでしょう。 - 内因性 [INHERENCY]
いまここに、実行に移されるべき具体的な提案があります。 - プラン [PLAN]
私たちのプランは、問題や被害 [harm] を解決します。 - 解決性 [SOLVENCY]
否定側の2nd speakerから1ACへの質疑応答
3分
1. 相手の議論を理解するのに役立つ質問をしましょう。(情報を得る:GET INFORMATION)
2. 自分たちの議論を出すための準備となる質問をしましょう。(返答をあとで相手への反論に使う:USE ANSWER AGAINST THEM LATER)
3. 自分がどんなに素晴らしい人間であるかをジャッジに見せつけましょう。(礼儀正しく友好的な人物のように振る舞う:ACT LIKE A POLITE, FRIENDLY PERSON)
否定側第一立論 [First Negative Constructive Speech](1NC)
8分
肯定側に攻撃を加え、否定側からのさらなる議論を展開し始めましょう。
肯定側のcaseの詳細に対して、反論をしましょう。- ケースへの反論 [CASE ARGUMENTS]
プランが採用されたら、悪いことが起こることを主張しましょう。 - デメリット [DISADVANTAGES]
肯定側の根本的な前提部分に、欠陥や誤りがあることを主張しましょう。 - クリティーク [CRITIQUE]
プランが論題を体現したものになっていないことを主張しましょう。 - トピカリティ [TOPICALITY]
プランよりももっと優れた代替案があることを主張しましょう。- カウンタープラン [COUNTERPLAN]
肯定側の1st speakerから1NCへの質疑応答
3分
肯定側第二立論 [Second Affirmative Constructive Speech](2AC)
8分
肯定側の立場を守り、否定側の立場を攻撃しましょう。肯定側にとっては、新しい論点を導入する最後のチャンスとなります。
デメリット [disadvantage] は、実は肯定側に投票するための理由になってしまうと主張しましょう。 - ターンアラウンド[TURNS]
カウンタープランは、肯定側のプランと共存できると主張しましょう。 - パーミュテーション [PERMUTATIONS]
否定側の1st speakerから2ACへの質疑応答
3分
否定側第二立論 [Second Negative Constructive Speech](2NC)
8分
肯定側の立場を攻撃し、否定側の立場を守りましょう。否定側にとって、新しい論点を導入する最後のチャンスです。
2NCと1NRは、別々の論点を担当するべきです。 - 役割分担 [DIVISION OF LABOR]
肯定側の2nd speakerから2NCへの質疑応答
3分
否定側第一反駁 [First Negative Rebuttal](1NR)
4分
肯定側の立場を攻撃し、否定側の立場を守りましょう。 - 役割分担 [DIVISION OF LABOR]
肯定側第一反駁 [First Affirmative Rebuttal](1AR)
4分
否定側のすべての論点に答え、肯定側の立場を守りましょう。
否定側第二反駁 [First Affirmative Rebuttal](2NR)
4分
勝ちにつなげるための論点を選び、それらを批判的な立場の人へと売り込みましょう。 - 論点の比較・評価 [WEIGH THE ISSUES]
肯定側第二反駁 [SECOND Affirmative Rebuttal](2AR)
4分
勝ちにつなげるための論点を選び、それらを批判的な立場の人へと売り込みましょう。 - 論点の比較・評価 [WEIGH THE ISSUES]
各チームは、スピーチの前に使うための、合計5〜10分の準備時間 [prep time] を与えられます。この時間は、大会によって異なります。
最後に握手しましょう。ジャッジからなにかコメントをもらえるときは、そちらに注目して下さい。
2004年09月10日
ディベートとは、結局どういうものなのか?
「ディベートの基本」(Peach State Debate Classic Handbookより)
ディベート大会
ディベート大会が開かれるおかげで、いろんな学校の生徒が集まって、今ある制度に存在する問題を解決するためのより優れた政策を、誰が持っているのか決めることができます。一般には、大会の開催場所に着いたら、対戦表が張り出されるメインロビーや学生センターで待っているといいでしょう。一番大きな集団についていけば、ここには割と簡単にたどりつけるはずです。対戦表は、ディベートをするチーム、部屋番号、ジャッジ名を示したリストになっています。毎ラウンドごとに、異なる対戦が組まれます。一般に、ディベートの試合は教室で行われます。対戦表を確認したら、試合に遅れないように、できるだけ早く指定された教室を探すのがいいでしょう。部屋の場所を見つけだすには、しばしば地図も有効となります。
両サイドのチームとジャッジが教室に到着したら、ラウンド開始です。最初の2、3試合では、ほとんどの生徒は、自分が何をすべきかはっきりしたアイディアを持っていません。やり方に自信がないときは、ジャッジに尋ねるのをためらわないようにしましょう。そうして最後には、ディベートがもっと心地よく感じられるようになり、緊張感も弱まってくるのです。
ふつう、大会では何試合か予選 [preliminary round] があります。参加する全てのチームが、ここで試合をします。時には、トーナメント [elimination round] が行われることもあります。一般には、上位のチームがこのトーナメントに参加し、勝ったチームは次に進めますが、もう1チームは大会から消え去ることになります。予選で最もよい成績をおさめたチームが、トーナメントに進むのです。初心者は、もっと経験を積んだディベーターをここで見学することで、大きな利益を得ることができます。
論題について
論題 [resolution] の目的は、ディベートを制限することにあります。論題は、肯定側と否定側両方のチームに、公平な陣地の分配を行います。たとえば、1999年から2000年にかけての高校のシーズンは、このようになっていました。
Resolved: That the federal government should establish an education policy to significantly increase academic achievement in secondary schools in the United States.
(連邦政府は、合衆国における中学・高校の学力を大幅に向上させるための教育政策を策定すべきである)
お決まりの争点(定常争点)と論題
定常争点 [stock issue] は、肯定側のケース [Affirmative Case] が論題の良い例であることを示すために、伝統的に肯定側に課せられているものです。これらの定常争点は、「prima facie(ラテン語。一見して明らかな、という意味)」と呼ばれ、肯定側に証明責任があることから、肯定側が試合で勝つためには、必ずこの責任を果たさなければなりません。
(訳注:現在の日本ではstock issueパラダイムは完全に過去のものとなっており、単純にメリットとデメリットの大きさを比べるだけのpolicy makingパラダイムが主流となっているため、必ずしも以下の分析が日本の状況に当てはまらない可能性があります)
トピカリティ [Topicality]
トピカリティとは、肯定側のチームが論題の枠組みの中にいる、ということを確信させるための、定常争点です。論題は、ディベートにおける「課題」のようなものです。授業のテストとちょうど同じように、あなたは与えられた問題について答えなければなりません。もし、自分が課せられた側から論題を論じなければ、課題に落第し、ディベートで負けてしまうことでしょう。
重要性と被害 [ Significance and Harms ]
重要性 [significance] と被害 [harm] は、問題の重要さを扱います。Harmは、問題が解決されなかったときに起こるであろう結果のこと、として定義されています。Significanceは、Harmがどの程度重要なものなのかを評価します。
解決性 [Solvency]
解決性 [Solvency]は、肯定側のプランが、明らかにされた問題を解決するのかどうか、また解決するならどの程度なのか、をはかるための指標となります。もし肯定側のプランがHarmを解決しないなら、それを実行に移す必要はないでしょう。
内因性 [Inherency]
内因性 [Inherency] は、論題にあてはまる行動の必要性について言及します。たとえば、もし肯定側のチームが「アメリカにゴミ処分場を作れば汚染がなくなるだろう」と提案しても、アメリカにはすでにゴミ処分場があるため、「現状に問題がそもそも存在しない(non-inherent)」とされてしまうでしょう。もしプランが既に実行されていれば、それをさらにもう一度制定しなおす必要はない、ということになってしまうため、Inherencyは重要であるといえます。
フィアット [Fiat]
フィアット [Fiat] (フランス語。「そのようにさせる」という意味)とは、肯定側のプランが実際に実行に移される、という仮定のことです。この仮定によって、国会が本当に政策を通過させて実行に移す意志があるのか、という疑問のせいでディベートが損なわれるのを避けることができます。一般に、Fiatは論題の中の単語「should」から生み出されているとされます。ディベーターは、プランが実行される可能性がある(would)かどうかではなく、プランが実行される「べきである(should)」かどうかを議論するのです。
スピーチの順番と責任
立論のスピーチ [constructive speech] は、肯定側と否定側が勝ち取りたいと願っている議論を構築するために使われます。反駁のスピーチ [rebuttal speech] は、各々のチームによって取られた立場をしっかりと固め、なぜジャッジが一方を差し置いてそのチームに投票しなければならないのか、という理由を伝えるために用いられます。
1AC - 最初の話し手 [speaker] は肯定側から出されます。論題に該当し、あとに続くディベートの基礎となるケース [case] とプランを提示するのが、1ACの責任です。このスピーチは、あらかじめ事前に用意しておいたものだけを使うことなります。
[訳注:ここでのcaseとは、プランを採用することで生まれる具体的なメリット、という意味くらいに解釈していればOKです]
1NC - 2番目の話し手は否定側から出されます。肯定側が1つ前のスピーチ(1AC)で示したcaseによって、1NCにおける戦略 [strategy] は異なってきます。1NCは、ふつうはデメリット[disadvantage] 、トピカリティについての議論、そしてcaseへの反論 [case attack] など他の議論から成り立ちます。
2AC - 1NCで提出された議論に対して答えることが、このスピーチの担当者の責任となります。
2NC - このスピーチは、ラウンドに新しい議論を持ち込むために使われることもありますが、普通は肯定側の議論の誤りを指摘するために使われます。このスピーチはまた、1NCによって生み出され2ACで応戦された議論を、さらに引き延ばす [extend] ために使われます。
1NR - 一連の反駁のスピーチ [rebuttal speech] の中では一番最初となるものです。このスピーチでは、2NCが応戦しなかった議論のうち、否定側が重要だと感じるものをカバーします。
1AR - 肯定側の最初の反駁のスピーチになります。このスピーチの担当者は、否定側の2つのスピーチで提出された議論を全てカバーする責任があります。全ての肯定側の議論をカバーするためには、上手にスピーチをする技術を持っていなければならず、このことが1ARをディベートのラウンドのなかでも最も難しいスピーチの1つにしています。
2NR - このスピーチは、なぜ肯定側ではなく否定側に票を投じなければならないのか、という理由をジャッジに説明するために使われます。ラウンド中で出された全ての議論は、この時点で全て明らかなものとなっていなければなりません。2NRはこの時間を、2NCと1NRの議論を強調するために使うべきです。
2AR - 最後の反駁のスピーチとなります。このスピーチは、肯定側がジャッジに強い印象を与えるための最後の機会となります。この時点で、肯定側のチームはなぜ自分たちがこのラウンドで勝っており、またどうしてcaseがデメリットによる被害を上回っているといえるのか、ジャッジに説明しなければなりません。
質疑応答 [Cross Examination]
議論をよりはっきりとさせるため、立論のスピーチの合間に3分間、各々の選手が相手に質問をすることが許されています。
Cross Examinationの順番
IA - 2Nが質問する
IN - 1Aが質問する
2A - 1Nが質問する
2N - 2Aが質問する
審判 [Judges]
ジャッジ [judge] は、ディベートの試合の結果を決める人のことです。予選の試合の場合、ふつうはジャッジは各試合あたり1人で、トーナメント [elimination round] になると3人以上となります。試合で誰が勝ったかを決めるだけではなく、ジャッジは各々の選手にポイントをつけ、順位付けをおこないます。選手は1位、2位、3位、4位と順位付けされ、1位が最高となります。ポイントは1点から30点まで与えられ、30点が最高です。よほど極端な状況でなければ、20点以下を与えることはほとんどありません。この順位とポイントは、どれくらいそのディベーターが上手にスピーチをし、明確に述べ、そして議論を提案したかをランク付けします。こうした状況から、試合中、選手はお互いと勝手に議論するのではなく、ジャッジを語りかける対象としなければなりません。
フィロソフィー [philosophy] に関わらず、ジャッジは介入したくはないものです。ジャッジは、ディベーター自身が結論を決め、最後のスピーチでそれぞれの議論を比較・評価してくれることを望んでいます。
試合が終わったあと、もし時間が許せば、ジャッジはディベーターがしたことに対して批判を与え、改善のための提案をしてくれるでしょう。
2004年09月09日
なぜディベートをするのか?
ディベートは時間と努力を必要とします。しかし、何百万もの生徒が、何年もの経験の結果、ディベートにはそれ以上の価値があると感じています。
「ディベートは楽しい」
あなたは、パートナーとともに、他の生徒に対抗してディベートを行います。学校におけるあなたのチームは、いつしか、勝つためにともに作業を行うためのディベート・スクワッド、そしてコミュニティとなります。そこで多くの友人を作り、新たに多くの面白い人々に出会うことでしょう。そして、スリルにあふれた大会に参加し、学校の外へと旅立つのです。
「ディベートは、頭と声を使ったスポーツである」
あなたは、自分の頭と口を使うことを極めることになります。あなたには勝つチャンスがありますし、たとえもし勝てなくても、そこから学ぶことができます。足が速かったり、背が高かったり、体が大きかったり・・・といった肉体的な条件が必要なある種のスポーツは違って、ディベートは誰にでも開かれています。良いディベーターになるためには、学識もテストの点も必要ありません。もしあなたが「自分はちゃんと学べる人間だ」と感じていたり、自分の頭の回転がいいと思っていたりするなら、ディベートはもうあなたのものです。そして、たとえもし「自分には特に優れた点なんて何もない」とあなたが考えていたとしても、ディベートはあなたの能力を鍛えてくれます。
「ディベートは、あなた自信によってコントロールされるものである」
あなたは自分でスピーチをし、議論を選び、自分で作った戦略を使うことになります。何をするべきか、何を勉強するべきか、ということを言われるかわりに、ディベートでは、あなたが自分自身で学習計画を立て、自分の興味のあるアイディアや論点を追い求めることができます。
「ディベートは、あなたの成功のために必要な技術を生み出す」
ある種の研究は、雇用者や大学はオーラル・コミュニケーションの技術に長けた学生を求めている、ということを示しており、ディベートはオーラル・コミュニケーションの技術を向上させることを基本としています。同時に、オーラル・コミュニケーションに長けた人たちは、他の人から「リーダー」であるとみなされ、仕事でも速く出世する、ということが示されています。ある種の活動や学習分野とちがって、あなたが人生をどこに向かわせようとしていても、ディベートはきっと役立つでしょう。
「ディベートは、ものごとを変える力を与えてくれる」
学校で、コミュニティで、あなたの国で、そして世界で・・・。ものごとは変化を求めており、あなたの声は変化のための強力な道具となります。マルコムXの人生は、彼が獄中でディベートを学んだ瞬間から変わりました。のちに彼が書き記した内容を聞いて下さい。
「これまでに、Norfolkの植民地刑務所では、ディベートが毎週行われていた、ということをお話ししました。読書体験は、自分の頭を高圧蒸気のようにしていました。どうにかして、わたしは白人に面と向かって、彼ら自身のことについて言ってやらければならなかったのです。ディベートを始めることでこれが実現できる、と判断した私は、ひとたび足を踏み入れるなり、ディベートに没頭してしまいました。選ばれたテーマのどちらの側についても、そこから得られるあらゆるものを徹底的に調べ、勉強しました。自分を反対側の立場に置いてみて、自分ならどのように勝とうとするかを判断したのです。私は、あらゆるポイントを叩きのめす方法を思い描いていました。」
[マルコムXの自伝,1964]
ディベートは、マニアやおたくのためだけにあるのではありません。マルコムX、マーカス・ガーヴィ(訳者注:全黒人地位改良協会の設立者)、ジョン・F・ケネディなど、多くの人がディベートを愛しました。これらの人を、マニアやおたくだということはできないはずです。
ディベートって何?
ディベートとは、「変化」について語るものです。私たちは、自分たちの人生、コミュニティ、国、世界、未来をよりよいものとするため、常に格闘し続けています。現状には決して満足することはないのです。もちろん、人生には改善しようのないものごとも存在するのですが。
ディベートとは、変化がどのように起こるべきかを判断するプロセスであるといえます。これは、私たちの考え方・生き方を変えることを正当化する試みなのです。実際に、ディベートはアメリカの上院・下院のフロアで毎日のように行われています。国連、学校の教職員会議、そしてあなたの夕食のテーブルでも、ディベートは行われているのです。これらはやり方は違うかも知れませんが、プロセスそのものは同じです。すなわち、変化が良いものなのか悪いものなのかを決めるため、議論するのです。国連はイラクのクウェート侵攻の善悪について、教職員会議では学校の方針についてディベートを行い、そしてあなたも最近、夕食の後に両親と、小遣いの額や車を運転し始める時期についてディベートしたかもしれません。
教育の現場では、私たちはこのディベートのプロセスを「形式化」しようと試みます。
1、あなたはパートナーとともに作業します。あなたとパートナーで、ひとつの「ディベートチーム」を形成するのです。論題に対しては、賛成しなければならない(肯定側 [the affirmative] )ときもあれば、反対しなければならないとき(否定側 [the negative] )もあります。どんな場合でも、ディベートにむけて準備するための豊富な時間を与えられます。
2、スピーチは、ディベート特有の形式にそって行われます。これらは、立論 [constructive] と反駁 [rebuttal] と呼ばれます。各チームのメンバーはそれぞれ、2回ずつスピーチを行います。肯定側の立論、否定側の立論、肯定側の反駁、否定側の反駁が存在します。
3、これから皆さんは、あまりなじみのないようなルールと技術を学ぶことになるかもしれません。ディベートのやりかたを学ぶ方法は、最初はとっつきにくく思えるものです。しかし、ひとたび挑戦すれば、この方法とディベートとの関連が理解できてくるはずです。ディベートで一番つらいのは、最初の数週間だけで、一度ルールを学んでしまえば、それ以降はどんどん楽になっていきます。
4、ディベートは、ただ1つの論題 [resolution] について行われます。私たちのほとんどは、競技・大会形式のディベートに重点を置くことになるはずです。いくつもの大会で争い、ディベーターに十分な準備時間を与えるために、1年間をとおして標準論題が使われます。たった今でも、何千もの高校が、同じ論点についてリサーチをし、ディベートを行っているのです。論題は、ディベートの範囲を決定します。この範囲の中には、何千という論点が存在するので、あらゆるディベートは決して同じになることはなく、いつも変化し続けることになります。
5、挑戦したい学生の皆さんは、他の高校に対抗して、学校のある期間中、ディベート大会に参加することができます。
2004年09月08日
謝辞
表紙に載っているのは私の名前ですし、この冊子の中にある誤りやミスについて、私は全ての責任を進んで受け入れるつもりですが、これは自分一人の力で書かれたものでは決してありません。1972年から、私はディベートの訓練のための教材を、自分用に集め、評価してきました。そして、これまでに出会った素晴らしい教育テクニックの全てを盗んだのです。
なかでも、最もよく御世話になったものの一つが、Emory National Debate Institute(ENDI)です。エモリー大学のMelissa Wadeとthe Barkley Forumは、新米ディベーターのための教材を生み出すことに関して、国内で指導的な役割を果たしています。年を追うごとに、これらは洗練され続けているのです。1999年版のENDIのポリシー・トレーニング教材は、単体のディベート教材としては、私がかつて見た中でも最高のものでした。これらの教材を生み出すために何年も働いた、Melissa Wade, Bill Newnam, Joe Bellon, Anne Marie Toddや、その他の全てのエモリー大の人々に対し、心から感謝の意を表します。
私がアイディアを拝借したもう一つの情報源が、毎年夏にバーモント大で開催されるWorld Debate Instituteです。このプログラムも、18年以上にわたり、新米ディベーターへの教材の開発を強調し続けています。
この他の人々の成果を利用しているところでも、私はそれらを参照し、必要なクレジットを与えるように努めました。
また、特にOpen Society Instituteには、このプロジェクトをサポートしてくれたことを感謝したいと思います。ディベートを本当に必要としているコミュニティに、ディベートを普及させようとする彼らの猛烈な熱意は、私に一種のインスピレーションを与えてくれました。
何年にもわたって、何が効果的で何が効果的でないのかを教え続けてくれた、本当にたくさんの初心者ディベーターたちにも感謝します。もちろん、私は彼らからの教訓を全て学び切れているわけではありませんが、それでも、さらに学んでいくつもりです。
この冊子は、Open Society Instituteがスポンサーとなり、その後Urban Debate Leagueに参加する国内各地の学校へと配布された、13巻からなるビデオ教材と平行して製作されました。このビデオの完全なシリーズは、現在手に入りませんが、15ステップからなるシンプルな初心者教育用のビデオシリーズは、http://debate.uvm.edu/broadcast.htmlから無料で手に入れることができます。また、http://debate.uvm.edu/ee.htmlからCD-ROMを手に入れることも可能です。
ディベートは、単なるゲームや教育活動ではありません。それは、人生に転機をもたらし力を与える「critical advocacy(批判的に意見すること)」への道なのです。これからあなたを、ディベーターの道 [code of the debater] を学び、理性の道をたどる旅へと御招待することにしましょう。
Alfred C. Snider(バーモント大学)
1999年11月
ひそかにオープン
capと「CODE OF THE DEBATERを訳そう」みたいな話をしていたのを思い出してしまったので、ひそかに始めてしまいます。原本はここ。